鬱について
「鬱」とは、精神的に深い疲れや落ち込み、無気力感が続く状態を指します。心療内科で「鬱です」と診断されるということは、その症状が生活に影響を与えるほど強くなっていることを意味します。鬱の症状は個人によって異なりますが、一般的に見られる症状としては以下のようなものがあるでしょう。
気分の落ち込み
ほとんど毎日、気分が落ち込み、楽しみが感じられなくなることが多いです。以前好きだったことにも興味を持てなくなり、無気力感や疲労感が強くなることがあります。
エネルギーの低下
何をするにも疲れを感じ、体が重く感じることが多いです。普段ならできるはずのことも億劫になり、行動に移すのが難しくなります。
自分に対する否定的な思考
自分に対して「どうせダメだ」「価値がない」などネガティブに感じることが増え、自己評価が極端に低くなることがあります。自分を責めるような気持ちにとらわれることもあります。
睡眠の問題
寝つきが悪い、または寝過ぎてしまうことがあります。眠っても疲れが取れないと感じることが多く、日中の眠気やだるさが続くこともあります。
食欲の変化
食欲がなくなり、食べる気がしないことがある一方、逆に過食になることもありますが、どちらかと言えば食べることに対する興味が薄れることが多いです。
身体的症状
体がだるい、頭痛や肩こりなど、精神的なストレスが身体的な症状として現れることがあります。特に、明確な身体的原因がないのに体調が悪いと感じることが増えます。
集中力の低下
集中力が落ち、物事に対して興味が持てなくなります。仕事や学業に対する集中が続かず、注意散漫になることもあります。
鬱の原因について
鬱は一つの原因だけでなく、複数の要因が絡み合って起こることが多いです。以下のような要因が考えられます。
• 遺伝的要因:家族に鬱を経験した人がいる場合、遺伝的に影響を受けることがあります。
• ストレス:過度のストレスや生活の変化、仕事や人間関係のトラブルなどが引き金になることがあります。
• 脳の化学物質の不均衡:脳内の神経伝達物質(セロトニンやノルアドレナリンなど)のバランスが崩れることが鬱を引き起こす一因として考えられています。
• 心理的要因:過去のトラウマやその人が抱えている心理的な問題、長期間の孤独感や社会的な孤立が影響を与えることもあります。
鬱の治療法
鬱は治療可能な病気であり、適切な治療を受けることが大切です。治療方法としては、以下のようなものがあります。
1. 薬物療法: 鬱の症状を軽減するために、抗うつ薬が処方されることがあります。薬は脳の神経伝達物質のバランスを整え、気分やエネルギーを改善する手助けをするので、あまりにもしんどい時や今までと随分違う状態だと気付いた場合は、精神科や心療内科を受診してみるとよいでしょう。
2. 心理療法:思考の癖やストレスへの対処方法を改善すると良くなるような人には認知行動療法(CBT)や対人関係療法(IPT)などが有効でしょう。しかし家族との葛藤が大きい人や生い立ちが大きく影響している人の場合は、薬だけとかCBTやIPTでは限界があったりします。そういう人は精神分析的心理療法を選び、丁寧に自分の状況を知っていくプロセスが役に立つと思われます。
3. 生活習慣の改善: 規則正しい生活を心がけ、食事や睡眠の質を改善することも、鬱の改善には重要です。運動も効果的で、少しずつ体を動かすことで気分が改善されることもあります。
まとめ
鬱は心と体に影響を及ぼし、日常生活に大きな負担をかけることがありますが、適切な治療を受けることで改善が期待できます。治療には時間がかかることもありますが、少しずつ回復していくことが多いです。もし自分が鬱かもしれないと感じたら、放置せず、精神科や心療内科クリニックを受診して医師のアドバイスを受けたり心理療法を行う臨床心理の専門家に相談することが有効でしょう。